なんて孤独──
読了 2008/06/01
読み始めたとき、すごく偏った小説だと思った。
でも、面白かった。
「シキ」という名前は同じType-moon作品の『月姫』にも出てきて、能力的にも似ているので、関連する話なのかな?と思ったけど…違っていた。
第一章では「式」という人物は謎である。男口調で話、容姿は中性的、着物を着ているが、その上に赤いジャンパーを羽織っている。着物にジャンパーというのが、異様ではある。着物…というだけでは、男女の区別がつかない。着物というと普通は女性の方が多いが、だからといって男性でも着る人もいるし。「シキ」という名前が『月姫』のこともあって、また混乱させる要因でもあったりする。
男女どちらかであるかは、第一章の最後で明らかになる。
第二章では過去に話がとび、両儀式と黒桐幹矢の関係が描かれる。ここで両儀式が何者なのかわかっていく、でもまだ序の口だ。
第三章以降は、現在に戻り、式の戦いが描かれていく。
アラヤとの戦いの話は、個人的には好きではないのだが、この話の世界観とかそういったものが凝縮されている。極狭い事しか描いていないのに、世界観を感じさせるのはうまいと思った。
逆に好きな話は礼園女学院の話、幹矢の妹、鮮花の隠された想いが明らかになる。
禁断系(?)の話は好きなので(汗
そして話はクライマックスを迎える。
最後はラブストーリーといっても過言ではないでしょう。
最後まで読んで、いやクライマックスの「殺人考査(後)」を読んでいるときに思ったのは、
黒桐幹矢は受けだろうということ。
素直に考えればそうだと思う。
また、もっとも特異でない幹矢が、実はもっとも特異なのではないかということ。
普通でいることが、普通ではないことである…と思った。
『暗黒館の殺人』(4)の奈須きのこの寄稿を読んでから『空の境界』上巻の綾辻行人の解説を読むと…すごく面白い。
なんかつながってるんだな〜このひとたちは。
この作品がミステリ的な側面をもっているからかな〜と思うのだった。
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