[小説] “文学少女”と死にたがりの道化
2006年6月8日 読書わたしは、物語や文学を食べちゃうくらい 深く激しく愛している、ただの文学少女です。
ISBN:4757728069 文庫 野村美月 エンターブレイン 2006/04/28 ¥588
文芸部部長、天野遠子。自称“文学少女”。彼女は、実は物語を食べる妖怪で、後輩の井上心葉(このは)は、非常識な彼女に振り回されてばかり。そんなある日、文芸部に「どうかあたしの恋を叶えてください!」と竹田千愛が依頼してくる。心葉は、遠子先輩に言われて千愛の恋のサポートを引き受けるのだが…。
この本は偶然に発見。
このタイトルと表紙の絵を見て、
「うさ恋。」の野村美月が暗黒系?
なんとミスマッチな…
と思ったのだが、
「ビター&ミステリアス学園コメディ」
と書いてある。
コメディ? …やっぱりか?(^_^;
恥の多い生涯を送ってきました。……元・天才少女作家です
こんな感じで始まる。(意図的に編集しています)
「天才少女作家」とあるので、主人公は女の子かな…と思う。
だけど、少し読むと「ぼく」という記述が出てくる。
あれ?
百歩譲って「ぼくっ娘」という事なのかな?
…残念でした。
主人公は男の子でした(笑)
文章が女の子の一人称で、ペンネームも井上ミウなんて女の子の名前を使っていた物だから…
この辺は大いに笑えるところ。
覆面美少女作家にされてしまって、その本がベストセラーになり映画化ドラマ化…。
主人公には悲劇的な感じだが、傍目から見れば喜劇である。
この部分だけでも面白いが、これは冒頭のほんの4ページくらいまでのことでしかない。
本編はこのあとにある、
“文学少女”である遠子先輩は物語を食べる妖怪。
なんなんだ…その設定は。
しかし、物語を食べる以外は普通の女の子。
…わざわざそういう設定にする必要はあったのだろうか?
主人公、心葉(このは)を巻き込んでいくところは何となく、
『涼宮ハルヒの憂鬱』を思わせた(わたしは小説読んでないけど)
そんな感じで、
遠子先輩のCVは平野綾、心葉のCVはキョン役の人(杉田智和)となった。
相談にやってくる千愛ちゃんのCVはみくる役、後藤邑子な。感じ
ハルヒで固めてみました(笑)
#わたし個人が思ったことなので、一般的には違うかも?(^_^;
中心になるのは太宰治の『人間失格』
「恥の多い生涯を送ってきました」は『人間失格』からで、
物語に深く食い込む。
コメディに流れるかな…と思ったんですが、
おお、なかなか雰囲気重い感じに転化していきます。
そしてミステリ的な展開。
終わってみれば、爽快な感じがありました、
この話これでおしまいかと思ったんですが、
新シリーズと書いてある。
ということは、次があるのかな?
あるようなら、それは楽しみです。
最後に、ツボにはまった台詞。
「…ぼくだって二年前は女の子で、謎の美少女と呼ばれて生き恥さらして、登校拒否で引きこもりで、お先真っ暗だったけど、ちゃんと生きてる!」
この話TSじゃあないんですけどね〜。
説明不足が引き起こす誤解(笑)
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