[小説]嗤う伊右衛門
2004年11月15日 読書ISBN:4043620012 文庫 京極 夏彦 角川書店 2001/11 ¥580
嗤う伊右衛門は四谷怪談らしい。
わたしは四谷怪談のことを良く知らない、一枚、二枚…の番町皿屋敷とごっちゃになっているくらいだ。
もちろん忠臣蔵もほんとのところ良く知らない(汗
四谷怪談の伊右衛門は悪い男として描かれている。
上役を殺し、その娘、岩に対して、自分が親を殺したことを隠し、逆に仇を取ってやると嘘をつき、夫となってしまう。そして、岩にひどい仕打ちをする。
一方、岩の方は、貞淑な妻として描かれ、ひどい仕打ちをされても耐え…恨みを抱いて死んでゆく、だいたいそんな感じである
しかし、本作の伊右衛門は違う。
伊右衛門は…いい奴である。
真面目で一本筋な人物であると思う。
岩のほうは、はっきりとした気性の激しい女性である。
下手をすれば、四谷怪談とは逆の関係と見えないこともない。
嗤う伊右衛門は、映画になっている。
そのときの触れ込みは「感動」であったように思う。
そのへんのせいもあって、そういう話だと思い込んでいた。
だが実際にはちょっと違って、はじめはおどろしげな感じ。
中盤、幸せなはずなのだが…でも、そんな感じはない。
ラストに至っては、これは純愛といえなくもないが…でも恐い。(汗
感動できる部分があるとすれば、岩といえもんの互いへの想いということになるだろうか。
わたしが、あまり感動できなかったのは、後半暗い部分が多かったわりには、最後があまりにもあっけないと思ってしまったからかもしれない。
話変わって、本作には又市という人物がいる。
この人物は巷説百物語に出てくる人物と同一人物である。
わたしは、アニメ版しか知らないのだが、又市の印象は全然違った。
アニメ用に脚色されたのか、あちらではほんとうにそうなのかは分からないけどね。
そのうち読んでみようかな。
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